乗り捨てとは、別名『ワンウェイレンタル』とも呼ばれ、借りた店舗と別の店舗に返却をするレンタカーのスタイルのことをいいます。
ただこの乗り捨てシステムは、店舗が複数あることが前提な上に、数店舗では成り立たないことから、全国各地に店舗を揃える大手レンタカーのみ取り扱っているスタイルでもあります。
尚、乗り捨ては一般的(大手レンタカー的)には4つの場面で利用することが良いとされています。
今回はこの４つの場面と、考察すべき点も一緒にご紹介します。乗り捨てを検討している場合は参考にしていただけたら幸いです。
この記事の監修者
GOGOマンスリーレンタカー代表
舟橋 裕司
長年レンタカー会社を運営して得た、深いレンタカーの知識を記事にてご紹介。また、ファイナンシャルプランナーの資格を保持しており、保険関連の専門的な知識も交えて、レンタカー初心者でもわかりやすい情報を発信します。
①手荷物が増えると予測される場合
代表的な例でいうと、旅行の最終日です。
最終日まではキャリーバッグなどの大型の手荷物は宿泊先に置いておけるので最低限の手荷物で観光ができますが、最終日のチェックアウト後は大型手荷物を持って観光をしないといけない上に、お土産などが増える可能性もあります。
こういう場合は最終日に宿泊先から近い乗り捨てＯＫなレンタカーを借り、自宅や空港に近い場所を返却場所にすることで、身体の負担を少なく旅行を終えることができます。
【考察点】
1泊程度の旅行であれば初日から自宅近くの格安レンタカーを借りて旅行中借りておいたほうが、大手の乗り捨てありのレンタカーを借りるより安くつくかもしれません。
また空港まで乗り捨てたとしても地元の空港から自宅まで遠いのであれば、そこまで必要は無いかなという印象はあります。
②大人数での長距離移動
例えば東京から大阪など、長距離移動をする場合です。
実際に店舗数・車所有数全国トップのトヨタレンタカーでシミュレーションしてみましょう。
移動：東京（新宿）～大阪（心斎橋）
［移動距離：約500km］
※所要時間 約5時間
- 車種料金
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ＶＯＸＹなどのＷ２コース《15,400円》
- 乗り捨て料金
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東京～大阪間《35,750円》
- 高速料金(ETC)
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初台南ＩＣ～森ノ宮ＩＣ《9,420円》
- 燃料費
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500km÷30km×150円＝《2,500円》
※燃費30km/L ガソリン150円/Lだと仮定 -
乗り捨て利用時の片道料金
63,070円
人数別の料金はどうでしょうか。
1人：63,070円
2人：31,535円
3人：21,023円
4人：15,768円
5人：12,614円
6人：10,512円
このように、大人数で利用すればするほど安くなるほどがわかります。
では車を利用せずに新幹線を利用した場合と比べてみましょう。
新幹線利用時の片道料金
新宿～東京～（新幹線）～新大阪～心斎橋
（所要時間：3時間16分）
合計14,750円
よって東京(新宿)から大阪(心斎橋)までの片道の場合、5人以上なら乗り捨ての方が安く行けるということになります。
また、4人であっても頑張ってグレードを下げた車種に乗っていけば安く行ける可能性はあります。
【考察点】
所要時間：車→５時間 電車→３時間16分
この差があるにも関わらず、土日祝日などは渋滞などで車は1～2時間多くかかることも考えられます。
電車の所要時間はほとんど前後しませんから、渋滞した場合の差は2～４時間出てきてしまいます。
確かに若干安くはなっているけれど、時間効率を考えると果たして本当に得をしているのか。
微妙です。
③中距離以上の引っ越し
引っ越し業者を利用せずに軽トラなどをレンタルして引っ越しする場合ですね。
通常のレンタカーの場合、同県内や、県外でも近い場合は引っ越し後に返却しに行けば問題無いですが、これが関東から関西、関西から東北なんてことになると返しにいくのに数時間。返却後に戻る電車賃も考えるとレンタカーはちょっと・・・。となりますよね。
そんな時に活躍するのが乗り捨てサービスです。引っ越し先の最寄り営業所に返却できれば、返却時間もそこからの帰宅時間や料金も大幅にカットすることが可能です。
【考察点】
東京～大阪間で例を出すとわかりやすいので出しますが、該当区間の単身引っ越しの相場はだいたい7～8万円と言われています。
引っ越し業者に頼んだ場合は自身の移動費もあるので合計で8～9万円としましょう。
対して乗り捨てレンタカーによる引っ越しをした場合の料金は、【2.大人数での長距離移動】の章でご紹介した金額で63,120円です。
料金差は2～3万円です。
自分でやった場合は荷物の積み込み・移動・積み下ろしを全て自身でやらなければなりません。恐らく相当な時間と労力を要するはずです。
果たしてこの時間と労力が2～3万円でカバーできるものなのか。
微妙です。
④寄り道程度に寄りたい場所がある場合
例えば、『東京から大阪に旅行するけど、せっかくそっち方面に行くのであれば、名古屋や静岡も少し寄ってから行きたい！』など、行くまでに少し寄り道したい場合です。
これを電車でやろうとすると新幹線代が無駄に掛かってしまう上に、行きたい場所が駅近でないとバスを待ったりと時間効率がとても悪いです。
帰路では再度寄る必要も無いので、行きだけ利用するという乗り捨てにはぴったりの機会なのです。
【考察点】
個人的には使い方として一番良いかなと思います。
高速道路は途中で降りてまた乗っても、直行した場合と数百円程度しか変わらないため、寄り道をすることによる金銭的な無駄はあまりありません。それに、もし何かあってやめようと思ったら寄り道をしないで行けばいいわけですので、色々な選択ができる点も良いですね。
旅行の往路を楽しむ手段としてはかなりおススメです。
まとめ
もし乗り捨てを考えている方がいれば、まずこの4つに当てはまっているかを考え、考察点も踏まえた上で利用することをおすすめします。
総じて言えることは、『大人数ならば金銭的に安くなることが多い』という点です。価格を何よりも重視する方には良い利用方法になる場合が多いです。
ちなみに、『乗り捨ては県内なら無料な会社が多いのでおすすめ』と書かれている記事がよくありますが、これは前述したとおり格安レンタカーを複数日借りたほうが安くつくことがほとんどです。
乗り入れ以外の方法も入れた上で総合的に考えてみると良いでしょう。
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