レンタカーを借りる際に怖いのは何といっても「事故」ですよね。
レンタカーは乗り慣れない車を運転することで事故率も上がりますから、なおさら万が一に備えた安心できる保険をつけておきたいところ。
今回はレンタカーの保険って必要?と思っている方へ、レンタカー会社を経営するプロの目線から、レンタカーを借りる際の保険の選び方をご紹介します。
この記事の監修者
GOGOマンスリーレンタカー代表
舟橋 裕司
長年レンタカー会社を運営して得た、深いレンタカーの知識を記事にてご紹介。また、ファイナンシャルプランナーの資格を保持しており、保険関連の専門的な知識も交えて、レンタカー初心者でもわかりやすい情報を発信します。
レンタカー利用時は保険に入るべき?
レンタカーを借りたら自動車保険へと加入したほうが良いのか悩むところかもしれません。
結論、レンタカー会社はすべて自動車保険に(自賠責保険・任意保険ともに)必ず加入しており、レンタル料金に保険料も含まれているので安心しましょう。
ただ問題なのは補償内容が会社によってバラバラだという点です。
保険に入っているから安心だといって内容を詳しく見ないで借りてしまうと、万が一の事故の際に自己負担として10万円請求されるなんてことも珍しくありません。
ですので、会社ごとの保険の特徴を正しく理解し、自分に合った保険が用意されている会社を選ぶことが重要になります。
レンタカーの自動車保険を選ぶ際の注意点
ただ気を付けなくてはならないのは、レンタカー会社の自動車保険は注意点がいくつか存在するという点です。
主に3つの注意点がありますので、一つ一つ解説していきます。
1.免責金がある
いわゆる「保険を使う時の実費額」のことです。
そうなんです。保険に入っているのに保険を使うときにお金がかかってしまうんです。そしてそのお金はレンタカー会社が払うのではなく借りている人が払う必要があります。
その金額は5万~10万円で設定されていることが多いので決して少ない金額ではありません。
ただし別料金で免責補償制度(CDW)という制度を利用することで免責金を減らすことができます。
(お客様の声)
免責金を見ずに借りてしまい事故を起こしてしまいました。保険は適用になりましたが、免責金だけで10万円も自己負担になってしまったので、もし次借りるなら必ず免責補償制度に加入しておこうと思います。
2.ノンオペレーションチャージ(NOC)がある
こちらは自動車保険とは別で発生してくる費用で、事故・盗難・故障等により、レンタカーの修理・清掃等が必要となった場合、その期間中の営業補償の一部として請求されるものです。
その金額は2万~5万円で設定されていることが多く、こちらも決して少ない金額ではありません。
免責補償制度(CDW)と同様に、ノンオペレーションチャージ(NOC)を減額してくれる制度を用意している会社もありますので、こちらも忘れずにチェックしましょう。
3.ワンデー保険は使えない
もっと手厚い補償にしたかったり、免責金を払いたくないからといって、コンビニで入れるようなワンデー保険を使おうかと考える方もいるかもしれません。
ただワンデー保険は「わ」や「れ」ナンバーのレンタカーに使うことができないので十分気を付けましょう。
ただし自分の車の保険の「他社運転特約」に関してはレンタカーにも適用となります。
※保険会社やレンタカーの種類などによって適用が変わる可能性があるので、必ず自分の保険会社に確認をしてから利用しましょう。
【一覧】大手レンタカー会社の保険(補償内容)
では実際にレンタカー会社の保険(補償内容)はどうなっているのでしょうか?
大手や長期専門店など様々な会社の保険を一覧にてご紹介します。
トヨタレンタカー
補償 | 内容 | 自己負担額(免責金) |
---|---|---|
対人 | 無制限 | 無し |
対物 | 無制限 | 5万円 |
人身補償 | 3,000万円 | 無し |
車両 | 時価格 | 5万円or10万円 |
レンタカー業界最大手のトヨタレンタカーの保険内容です。
いわゆるレンタカー店の一般的な補償内容になっており、対物と車両保険を利用する際に免責金が発生してしまうことがわかります。
ニッポンレンタカー
補償 | 内容 | 自己負担額(免責金) |
---|---|---|
~標準コース~ | ||
対人 | 無制限 | 無し |
対物 | 3,000万円 | 5万 |
人身補償 | 3,000万円 | 無し |
車両 | 時価格 | 5万or10万 |
安心コース | ||
対人 | 無制限 | 無し |
対物 | 無制限 | 5万 |
人身補償 | 5,000万円 | 無し |
車両 | 時価格 | 5万or10万 |
トヨタレンタカーと同規模の大手レンタカーである、ニッポンレンタカーの補償内容です。
2つの自動車保険プランがあるのが特徴で、基本は標準コースの補償ですが、追加料金を支払うことでと安心コースに変更することができます。
あとでご紹介しますが、対物補償が3000万円の標準コースは怖くて車に乗れません。つまり、追加料金は支払って安心コースへとグレードアップすることをおすすめします。
ガッツレンタカー
補償 | 内容 | 自己負担額(免責金) |
---|---|---|
対人 | 無制限 | 無し |
対物 | 無制限 | 5万円 |
人身補償 | 3,000万円 | 無し |
車両 | 無し | 5万or10万 |
格安レンタカーでは大手で知られるガッツレンタカーの補償内容です。
対人・対物は無制限で人身補償も3000万円と安心の内容ですが、車両保険が無く、さらに免責金まであるというダブルパンチの内容なので、こちらも自己負担額が高額になる可能性があります。
ただし免責金に関しては免責補償制度(CDW)で免除することができますので、迷わず加入しておきましょう。
GOGOマンスリーレンタカー
補償 | 内容 | 自己負担額(免責金) |
---|---|---|
対人 | 無制限 | 無し |
対物 | 無制限 | 無し |
人身補償 | 3,000万円 | 無し |
車両 | 時価額 | 無し |
東京・千葉・埼玉・神奈川で展開している長期専門のレンタカー会社であるGOGOマンスリーレンタカーです。
自社の特徴として挙げていますが、補償内容はトヨタレンタカーと同様のトップクラスの補償な上に、免責金が通常で0円な点は非常に魅力的といえます。
おすすめの補償(対人・対物・人身傷害・車両)
会社によって補償内容や特徴が変わることがわかりましたが、では具体的にどういった補償があると安心なのでしょうか。
ここでは対人・対物・人身傷害・車両保険と4つの項目に分けておすすめの補償をご紹介します。
対人補償
対人補償とは
自動車事故で他人を死傷させてしまった場合に、損害賠償額を補償するもの
レンタカーがすべて『対人補償:無制限』が義務付けられていることから気にしなくて良いです。
このご時世なのでさすがに無いとは思いますが、もし万が一対人補償が無制限ではないレンタカー店があれば違法ですので、利用は絶対にやめておきましょう。
対物補償
対物補償 とは
自動車事故によって相手の車やガードレール等のモノを壊してしまった際に、損害賠償額を補償するもの
これは『無制限』一択です。
3,000万までの補償としているレンタカー店はけっこうありますが、絶対に無制限へとプラン変更するか、違うレンタカー店を選びましょう。
理由としては、損害賠償額が3,000万円を超える過去事例がたくさんあることです。一部をご紹介します。
過去例
走行中のトラックが、前方を走行していた別のトラックに追突した。 追突されたトラックが中央分離帯を乗り越え対向車線に飛び出し路肩に横転、出火炎上し積み荷(洋服・毛皮等)が消失したもの。裁判所は、積み荷の損害額を約2億6,000万円と認定した。
引用:損保ジャパンHP
最大積載量を超過する山砂を運搬していた大型貨物自動車が、踏切前で停車していた普通乗用車を認め、衝突を回避するためブレーキを踏んだが間に合わず、踏切内に進入して通過中の列車と衝突した事故。裁判所は、電車一両分の廃車費用、残り三両分の修理費、として約9,000万、復旧に要した人件費、代行輸送料他として約2,000万、合計で約1億1,000万円を損害として認めた。
引用:損保ジャパンHP
このような事故が万が一起きてしまったら超高額請求額が来ることになるのです。
確率としてはとても低いかもしれませんが、万が一起きてしまった時にはあまりにも割に合いません。
というわけで必ず対物補償は無制限が良いです。
人身傷害補償
人身傷害補償とは
運転中(レンタカー利用中)に事故を起こして搭乗者が死傷した際の補償。治療費はもちろんのこと、働けない場合の損害や精神的な損害・死亡時の逸失利益などをまとめて補償してくれる
これは自分が生命保険や医療保険に加入しているかで変わってきます。
なぜなら人身傷害補償の説明を見てもらえたらわかるとおり、生命保険や医療保険と内容が被る部分が多いからです。
よって生命保険や医療保険にしっかり入っているのであれば必要性はそこまでありません。
ただこの保険は搭乗者全員に適用される補償ですので、自分は手厚い生命保険や医療保険に加入しているからといって、一緒に乗る家族や友人がそうとは限らないので、補償額は多いに越したことはない程度に考えておいて良いでしょう。
最大手のトヨタレンタカーが人身傷害補償を3,000万円にしているので、その金額を安心値と捉えておくと良いかもしれません。
車両保険
車両保険とは
自動車事故で自分の車(レンタカー)が壊れてしまった際に、損害金を補償するもの
これは時価格まで補償してくれる保険が良いでしょう。
万が一対物の事故などでレンタカーが全損してしまった場合は、安くても20万円、高いと何百万円と請求されることがありますので、時価格までの補償は必須です。
もし車両保険は付いていないレンタカー会社があれば、追加料金で付けられないか確認をしましょう。
一覧
ご紹介した補償内容をまとめるとこのようになります。
項目 | おすすめ内容 |
---|---|
対人補償 | 無制限 |
対物補償 | 無制限 |
人身傷害補償 | ・個人で保険に入っている:低くても問題無し ・個人で保険に入っていない:3,000万円 |
車両保険 | 時価格 |
まとめ
今回はレンタカーの保険の選び方とおすすめの補償をご紹介しました。
レンタカーの保険はお客様が内容を調整できるわけではないので、上記内容にできる限り近い保険が付いているレンタカー店を選ぶのが良いかと思います。(対物無制限は必須です。)
一般の自動車保険とレンタカー保険共通して言えるのは、事故の責任を取るのも保険の対象になるのも事故を起こした本人です。
つまり対物事故等で補償では賄いきれずお客様へと請求がいってしまった場合でも、レンタカー店は助けてくれないということです。
自分自身を守るためにも、レンタカー店を選ぶ際は自動車保険もしっかり確認し、安心してレンタカーを楽しんでいただけたらと思います。
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